則定小では、学校と湿地の違いを比べるために、季節ごとで変わる植物や生き物を調べていました。対象は小学5年生で、その学習のお手伝いを6年間させていただきました。そこで大切だと思ったことの一部をご紹介します。
ここでは、校庭に出て生き物の調査をする前に、おしべやめしべの解説をしています。もちろん、学校の理科の単元で習うものですが、あえて説明をしています。
校庭は、子ども達にとっては、日常なのでたいしたものがないと考えがちです。これは先生にとっても同じことかもしれません。ですが、校庭にある雑草一つとっても、どこからやってきて、どのように繁殖していくのかということは、あまり知らないことのほうが多いのではないでしょうか?
こんな小さいものの中にも、おしべやめしべのような共通の構造がある。身近なものにもおもしろいものがあると思ってもらうモチベーションを作るのが一番大切なことだと考えています。
校庭の調査では、植物か動物かの対象物を決めて、その高さや長さを図り、気が付いたことをスケッチしたり、季節ごとでどのような変化があるのかを記録に書き留めていきます。
もちろん、記録に残すことは大事なのですが、観察したものをどのように記録残すのかということが案外できていなかったりします。つまり、普段から子ども達は生き物や自然にふれていないので、観察の仕方がわからないのです。
このため、観察の仕方を教える必要があります。まずは、自分の5感で感じる。見る、聴く、さわる、においをかぐなど、体験してはじめてわかることが多いのです。その上で、こんなところに、こんな面白いものがあるよとか、この時期には、こんな生き物がいるかもよとか、子どもが興味を持ちそうなトピックを入れていきます。
そうすると、自然に子ども達は自分の印象に残ったものを記録に残すようになります。
季節ごとの調査をまとめるときに、指導者側はある程度の予測のもとに行っています。でも、大抵その予想は外れることが多いのです。
例えば、ある植物の高さを図り、平均値を出し(ここで算数が応用できます)、春、夏、秋と比較します。秋に向かって大きくなるだろうと子ども達は予想します。ですが、実際は、夏に大きくなりますが、秋には小さくなっていくのです。
じゃあ、なんでだろう?予想と違ったのはなぜなのか?そんなことを子ども達と一緒に考えていくことが一番の醍醐味です。
自然は予想と違うことになる。予想と違うことには、必ず原因がある。疑問に関する興味、関心を育てて、自然科学の入口にに子ども達を立たせることができたらいいですよね。